イップス克服ガイド:脳のメカニズムから認知行動療法まで徹底解説

私はかつてゴルフをしている時に、パターイップス(Yips)に悩まされた経験の持ち主です。

ティーショットをナイスショットしてグリーに近づくにつれて不安と緊張が大きくなり、ナイスアプローチでピンそばに付けると本来なら嬉しいはずが、外したらどうしようと不安と緊張が頂点に達してしまい、手がガチガチに固まってまともなパッティングができなくなり、結果カップインどころからスリーパット、フォーマットになってしまうことも・・・

こんなホールが1ホールでもあるとそのホールが頭から離れず、集中力を欠きその日のスコアは散々でゴルフが楽しいはすがありません。ラウンドが終わってからも自己嫌悪と惨めな気持ちを引きずってしまう・・・

ゴルフに限らず、もしあなたがこんな経験そして、今もなおイップスの呪縛から逃れられないでいるのなら、イップスが起きるメカニズムを知り、イップスを克服する方法をマスターしていただければと思います。

1 イップスとは何か

イップスとは、スポーツ選手や演奏家が突然、今まで普通にできていた動作をスムーズに行えなくなる現象です。これは単なる「気の持ちよう」ではなく、脳内の神経回路が誤作動を起こすことで発生します。

イップスの主な症状には、以下のようなものがあります。

  • 身体的な症状:動作の途中で突然止まる、スムーズに動かせない、筋肉の硬直やけいれん
  • 心理的な症状:本番に対する強い不安や恐怖、失敗への過度な予期不安、ネガティブな思考

このような症状が続くと、自信を失い、本来のパフォーマンスを発揮できなくなってしまいます。

そこで、そのイップスを克服するために、なぜイップスが起こるのかから見ていきましょう。

2 イップスの原因(不安と緊張の暴走による脳と身体の連携の乱れ)

私たちの脳は、外部の情報を感覚器官(目・耳・皮膚など)でキャッチし、無意識に行動を決定しています。

ハーバード大学の名誉教授ジェラルド・ザルトマン博士によると、「人間の行動や思考の95%は無意識に行われる」とされています。つまり、ほとんどの動作は意識しなくても自然に行われているのです。

イップスもまさに無意識に始まってしまうのです。
イップスになるぞ!と意識してイップスになってませんよね⁉️

イップスになりやすい人は、成功しなければならない、失敗したくないといった気持ちが強いので、失敗したらどうしようという不安がより大きくなりがちです。
恐らく過去に大きな失敗をして恥をかいたり、自尊心が傷ついた経験があるのかもしれませんね・・・それ故、プレッ
シャーがかかると、脳が「不安」と「緊張」を過剰に感じるようになってしまうのです。

イップスはこの不安や緊張が暴走して、制御不能な状況に陥った時の現象ですが、その不安や緊張が作られるプロセスを、運動制御に関わる脳の各部位がどのように連携して働くのか、その順番と役割について解説していきます。

3 イップスの状態を作り出す脳のメカニズム

1. 扁桃体:感情の発生と緊急性の評価

  • 外界からの情報(視覚、聴覚、触覚など)は、まず感覚野を介して扁桃体に伝達されます。
  • 扁桃体は、これらの情報を瞬時に評価し、特に危険や脅威となる情報に対して強い感情反応(恐怖、不安など)を引き起こします。
  • 同時に、扁桃体は視床下部に信号を送り、自律神経系や内分泌系を活性化させ、闘争逃走反応(緊張による行動の強化)の準備を始めます。

闘争逃走反応についての詳細はこちらから


2. 脳幹:基本的な運動パターンの起動と姿勢制御

  • 扁桃体からの信号は、脳幹に伝達され、基本的な運動パターン(逃げる、戦うなど)が起動されます。
  • 脳幹は、姿勢の維持や平衡感覚の制御も行い、身体が適切な体勢を取れるように調整します。
  • また、脳幹は脊髄への運動指令の中継点として機能し、反射的な運動反応を制御します。

3. 大脳基底核:運動プログラムの選択と調整

  • 脳幹からの情報と並行して、大脳基底核が運動プログラムの選択と調整を行います。
  • 過去の経験や学習に基づいて、最適な運動パターンを選択し、不必要な運動を抑制します。
  • 大脳基底核は、運動の開始、停止、滑らかな実行を調節し、スムーズな動作を可能にします。

4. 小脳:運動の協調性、バランス、正確性の制御

  • 小脳は、大脳基底核からの情報と、身体の各部位からの感覚情報を統合し、運動の協調性、バランス、正確性を制御します。
  • 運動の学習や記憶にも関与し、反復練習によって運動スキルを向上させます。
  • 小脳は、運動中に生じる誤差を修正し、正確な動作を可能にします。

5. 大脳皮質運動野:随意運動の指令と実行

  • 最終的に、大脳皮質運動野が筋肉への直接的な指令を出し、運動を実行します。
  • 特に一次運動野は、筋肉の収縮を制御し、意図した通りの動作を実現します。
  • 大脳皮質運動野は、高次な運動制御を行い、複雑な動作や精密な動作を可能にします。

イップスは、上記のような一連の運動制御プロセスにおいて、扁桃体が状況に対して非機能的な認知で過剰に興奮し、制御不能にまで増幅して感情の乱れを作り出し、大脳基底核、小脳との連携が乱れることで、意図しない筋肉の硬直や動作の乱れが生じさせてしまうのです。

4 イップスを克服するための認知行動療法やトレーニング

以上のイップスの状態を引き起こすメカニズムを正常に戻すための実践方法をいくつか紹介します。

認知行動療法(CBT):ネガティブ思考の書き換え

前頭前野に働きかけ、ネガティブな考え方を修正します。

実践方法:考えの書き換えエクササイズ(認知再構成法)
ネガティブ思考を書き出す(例:「また失敗するかも」「緊張してうまくできない」)
客観的に見つめ直す(「本当にそうだろうか?」)
ポジティブな考えに変換する(例:「練習通りやれば大丈夫」「失敗しても学びになる」)
「できるパターン」を脳に再学習させます。

認知行動療法における認知再構成法のわかりやすい解説はこちらから

メンタルトレーニング:扁桃体の過剰反応を抑制

不安や恐怖を和らげ、扁桃体の働きを調整します。

実践方法:リラクゼーション法
深呼吸(4秒吸って、6秒かけて吐く)
リラックスできる音楽を聴く
ポジティブな言葉を唱える(「大丈夫、できる!」)
プレッシャーの中でもリラックスしやすくなります。

イメージトレーニング:成功パターンの刷り込み

大脳基底核と小脳に働きかけ、理想の動きを脳に記憶させます。

実践方法:成功イメージの視覚化
目を閉じ、理想の動きをイメージする
動きの感覚、周囲の音、手の感触などをリアルに想像する
繰り返しイメージし、成功体験を定着させる
脳は現実とイメージを区別できないため、スムーズな動きを取り戻せます。

呼吸法・マインドフルネス:自律神経の調整

緊張による筋肉のこわばりを解消し、自律神経を整えます。

実践方法:マインドフルネス呼吸
背筋を伸ばし、目を閉じる
鼻からゆっくり息を吸い、お腹を膨らませる(4秒)
口から細く長く息を吐く(6秒)
呼吸に意識を集中し、雑念は気にしない
1日5分の実践で、リラックス効果が得られます。

まとめ:イップスの克服にはネガティブ思考からポジティブ思考への変容が重要!

イップスは、扁桃体に不安感情を作らせないための思考や認知を改善することや、不安を緩和するトレーニングを実践することで克服できます。
ぜひ今日から実践し、最高のパフォーマンスを取り戻しましょう!

✅認知行動療法(CBT):ネガティブ思考を修正
✅メンタルトレーニング:不安と緊張を和らげる
✅イメージトレーニング:成功のイメージを刷り込む
✅マインドフルネス:自律神経を整える

思考の変容や不安を緩和するトレーニングの効果は反復することで上がります。
効果が出るまで諦めずに続けることで、ポジティブな思考が癖となり、イップスを克服するとともに、ポジティブな自分に変われるチャンスにもつながればと思います!

この記事が、イップス克服の一助となれば幸いです。

苦しい気持ちをありのまま受け止め、あなたの味方となり一緒に考えます。
お気軽にご相談ください。

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この記事を書いた人

職場や生活で強い不安やストレスを抱えてお悩みのあなたを、企業経験30年(人事労務を担当した15年ではメンタル不調者への産業医と連携した対応経験が豊富)、メンタルクリニックでの患者さんへのカウンセリングによる支援、社外メンターとしての成長支援、SNS相談員として命と心、LGBTQなどの相談対応などの経験をベースにサポートいたします。

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