感動は「脳の再起動」──感動の涙の裏にある脳の変化と成長の可能性

私たちは映画の名場面や、誰かの挑戦、思いがけない優しさに触れたときに「感動して涙が出る」ことがありますよね。
この「感動」は、ただ心が動いただけの出来事ではなく、脳の深い部分で起きている大きな変化の証なのです。


感動が生まれる脳の仕組み

感動の中心にあるのは、脳の「扁桃体」という情動を司る部分です。
扁桃体は恐怖や不安などのネガティブな感情を扱うだけでなく、強い喜びや驚きといった「予測を超えた感情」にも強く反応します。

さらに、誰かに共感したり、思いやりを感じたりすると「前帯状皮質」や「島皮質」が活性化します。これにより、私たちは人の喜びや痛みを自分のことのように感じ、涙が流れることもあります。

そして、感動体験は脳の「報酬系(ドーパミン経路)」を活性化させます。
これが「もっと挑戦したい」「何かを変えたい」というポジティブな意欲につながっていくのです。

涙は「脳のデトックス」

感動して涙を流すことは、心だけでなく脳にとっても重要なプロセスです。
涙を流すことでストレスホルモンの濃度が下がり、脳は「緊張」状態から「リセット」へと切り替わります。
つまり、涙は脳と心を整理し、未来への一歩を踏み出す準備を整える「デトックス」のような役割を果たしているのです。

感動が「思考の変容」を生む

感動は一瞬の感情ではなく、脳の回路を新しくつなぎ直すきっかけでもあります。
感動体験を通して

  • 「自分も変われるかもしれない」
  • 「やってみたいことがある」
  • 「もっと優しい自分でいたい」

といった前向きな思考が生まれます。
これは脳科学でいう「可塑性(かそせい)」、つまり脳が柔軟に変わる力の現れです。
感動を大切にすることで、私たちは不安や緊張から一歩踏み出し、より自由な自分に近づけるのです。


感動がもたらす「心と体の好循環」

感動は心だけでなく、体にも大きな力を与えてくれます

感動体験をすると、脳内では「オキシトシン」や「エンドルフィン」といった幸福感や安心感を高めるホルモンが分泌されます。
これらのホルモンは、ストレスホルモン(コルチゾール)の分泌を抑え、心拍数や血圧を穏やかにしてくれる役割があります。

さらに、感動によって副交感神経が優位になると、体はリラックスモードに切り替わり、免疫機能が高まります。
つまり、感動することで 心のエネルギーが体に伝わり、元気が湧いてくる のです。

この「心と体の好循環」は、不安や緊張を抱える人にとって特に重要です。
不安や緊張が強いときは、体が緊張モード(交感神経優位)になり、呼吸が浅くなったり、体調を崩しやすくなったりします。
しかし、小さな感動体験を積み重ねることで、体が緩み、呼吸が深くなり、自然と笑顔が増えていきます。

「心が動くと体も動く」
この体感が「自分も変われるかもしれない」という前向きな気持ちを育てる大きな力になります。


より良い感動体験を得るためにできること

では、どうすればより深く、成長につながる感動体験を得られるのでしょうか?
以下の5つのヒントを、ぜひ参考にしてください。

1️⃣ 新しいことに触れてみる

感動は「予想外の出来事」から生まれます。
普段と違う景色、知らない音楽、新しい趣味に挑戦することで、脳の報酬系が活性化し、感動のハードルが下がります。

2️⃣ 「今ここ」に意識を向ける

感動は過去や未来ではなく「今ここ」にあります。
呼吸に集中したり、食事を一口ずつ味わったり、周囲の音に耳を澄ませるだけでも、脳はより多くの感覚情報を受け取り、感動を感じやすくなります。

3️⃣ 他者とのつながりを大切にする

人との共感や助け合いは、感動を深める大きな要素です。
誰かを応援する、ありがとうを伝える、小さな親切をする――これらの行動が、あなた自身の心を動かします。

4️⃣ 感情を表現する

感動した気持ちを表に出すことは、脳の成長を後押しします。
日記に書く、誰かに話す、SNSでシェアするなど、表現することで体験がより深く脳に刻まれます。

5️⃣ 自分の価値観を見つめ直す

感動の根っこには「自分にとって大切なもの」があります。
心が動いた瞬間を振り返り、その共通点を見つけることで、より深い感動体験が得られます。


不安や緊張に悩むあなたへ

不安や緊張で視野が狭くなると、感動を感じる余裕すらなくなってしまうことがあります。
でも、感動は「脳と体の再起動ボタン」です。
涙を流すことは、あなたが変わる力を持っている証拠です。
小さな感動体験を大切に積み重ねることが、思考の変容と未来への第一歩になります。


おわりに

感動は「脳と体の再起動」であり、「あなたらしさ」を取り戻すプロセスです。
一人で抱え込まず、感動を力に変える道を一緒に探していきましょう。


苦しい気持ちをありのまま受け止め、あなたの味方となり一緒に考えます。
お気軽にご相談ください。

よかったらシェアをお願いします
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

職場や生活で強い不安やストレスを抱えてお悩みのあなたを、企業経験30年(人事労務を担当した15年ではメンタル不調者への産業医と連携した対応経験が豊富)、メンタルクリニックでの患者さんへのカウンセリングによる支援、社外メンターとしての成長支援、SNS相談員として命と心、LGBTQなどの相談対応などの経験をベースにサポートいたします。

コメント

コメントする

目次