「眠ろうとしても、頭の中が止まらない」
「不安が湧いてきて、布団の中で緊張が続いてしまう」
もしあなたが、そんな夜をひとりで過ごしているなら、心からお疲れさまです。
このブログでは、不安や緊張によって眠りに入れない方に向けて、最新の脳神経科学の視点から「脳が眠りに切り替わる仕組み」をやさしく解説し、安心して眠るためのヒントをお届けします。
脳はどうやって眠る準備を始めるのか?

私たちの脳には、「今は起きている」「そろそろ眠る時間だ」といったリズムを切り替えるしくみが備わっています。その中心にあるのが、**視床下部(ししょうかぶ)**という脳の領域です。
この視床下部には「オレキシン」という神経伝達物質を出す細胞があり、日中はこのオレキシンが活発に働いて、脳を覚醒状態に保っています(Sakurai, 2007)。
そして夜になると、オレキシンの活動が自然と低下し、自律神経も交感神経から副交感神経へと切り替わって、私たちは徐々に眠りの準備に入ります。
でも、不安や緊張が強いときには、この切り替えスイッチがうまく働かず、脳が「起きたまま」の状態にとどまってしまうことがあるのです。
不安があると眠れなくなるのはなぜ?
不安な気持ちが強くなると、脳の中では「扁桃体(へんとうたい)」という場所が活発に反応し始めます。
扁桃体は、私たちが危険を察知したときに反応し、体を警戒モードに切り替える役割を担っています。
この反応は本来、「身を守るため」に必要なものなのですが、眠ろうとしている夜にも働き続けてしまうと、心拍数が上がり、筋肉はこわばり、体も心もなかなかリラックスできません。
こうした状態では、本来起こるはずの「眠りのスイッチ」が入りにくくなってしまうのです(Etkin & Wager, 2007)。
睡眠のために大切なのは、「夜」ではなく「朝」

眠れる夜をつくる鍵は、実は「朝の過ごし方」にあると言われています。
朝起きたときに太陽の光を浴びると、脳の「視交叉上核(しこうさじょうかく)」という体内時計の中枢が刺激され、そこから約15〜16時間後に自然な眠気が訪れるように調整されます(Czeisler & Gooley, 2007)。
また、朝の光には「セロトニン」という神経伝達物質の分泌を促す働きがあります。セロトニンは心を安定させる作用があり、日中の不安感やイライラをやわらげてくれる心強い味方です(Young, 2007)。
だからこそ、眠れない夜を変えていくために、まずは「朝起きて光を浴びること」から始めてみるのが、とても効果的なのです。
日中の不安は、夜の睡眠にも影響します
「夜になると不安が強くなって眠れない」と感じる方は多いですが、実はその不安、**日中にすでに脳が受け取っている“緊張信号”**が関係しています。
私たちの脳には、不安や恐怖を察知する「扁桃体(へんとうたい)」という領域があります。扁桃体は、危険を予測するとすぐに反応し、心拍数を上げたり筋肉を緊張させたりして、身体を“警戒モード”にします。
そして、この扁桃体の活動が強くなると、それを抑えようとする「前頭前野(ぜんとうぜんや)」という領域が働きます。前頭前野は「理性的に考える脳」ともいわれ、安心できる情報を集めて、扁桃体の興奮を鎮めようとするのです。
ところが、**日中に不安や心配事が多すぎると、前頭前野は疲れて機能が低下してしまいます。**その結果、夜になっても扁桃体が過敏なままとなり、脳が「まだ危険がある」と誤認して、眠りへの切り替えがうまくいかなくなるのです。
さらに、脳は一日の体験を「記憶」として整理する働きもしていますが、不安が強いと記憶の整理がうまくいかず、寝つきを悪くしたり、悪夢を見やすくなることもあります。
メンタルプログレスでは、睡眠のお悩みにも寄り添います
メンタルプログレスでは、**脳神経科学と認知行動療法(CBT)**の考え方をベースに、入眠困難を抱える方へのカウンセリングを行っています。
- 夜になると不安が高まり眠れない方へ
- 「考えすぎて眠れない思考パターン」を見つめ直したい方へ
- 朝のリズムを整えて、眠れる体内時計をつくりたい方へ
ひとつずつ、できることを一緒に考えていきます。眠れない夜をひとりで抱え込まずに、よろしければ私たちにご相談ください。
まとめ
不安と緊張が続く夜は、どれほど心細いことでしょう。
でも、あなたの脳には「眠る力」がきちんと備わっています。
その力を取り戻すために、朝の光を浴びることや、不安のもとをやさしく整理することが、大きな助けになるのです。
今日より少しだけ安心できる夜を、一歩ずつ取り戻していけますように。
メンタルプログレスは、そんなあなたのそばにいます。
参考文献
- Sakurai, T. (2007). The role of orexin in motivated behaviors. Nature Reviews Neuroscience, 8(3), 171–181.
- Etkin, A., & Wager, T. D. (2007). Functional neuroimaging of anxiety. American Journal of Psychiatry, 164(10), 1476–1488.
- Czeisler, C. A., & Gooley, J. J. (2007). Sleep and circadian rhythms. Cold Spring Harb Symp Quant Biol, 72, 579–597.
- Young, S. N. (2007). How to increase serotonin in the human brain without drugs. J Psychiatry Neurosci, 32(6), 394–399.

苦しい気持ちをありのまま受け止め、あなたの味方となり一緒に考えます。
お気軽にご相談ください。
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