対人関係療法(IPT)講座受講のご報告

2021年10月9日(土)、16日(土)の二日間EMCAアカデミー主催の対人関係療法(Interpersonal psychotherapy略してIPT)講座を受講しました。
講師は神奈川大学杉山崇教授

両日ともに10時から18時半までと長時間にわたる講義と実習でしたが、あっという間に終わってしまったと感じるほど、カウンセラーにとっては充実してためになるものでした。貴重な事例解説、脳神経科学の観点からの解説などとても参考になる講義で、リカレントメンタルヘルススクールで学んだ対人関係療法(IPT)の理解をより深めることができました。
また、ロールプレイを通して実践での活用方法についても具体的に学ぶことができ、今後のカウンセリングスキルの幅も広がりました。

対人関係療法(IPT)はうつ病の治療用に開発され、今では摂食障害、外傷後ストレス障害(IPT)、遮光不安障害など幅広く精神疾患の治療に使われていますが、人間関係がストレスとなりやすい職場においても有効な心理療法として位置付けられています。

【参考】令和2年 労働安全衛生調査(実態調査)の結果によると
現在の仕事や職業生活に関することで、強い不安やストレスとなっていると感じる事柄がある労働者の割合は 54.2%で、その内訳で人間関係によるもの、もしくは良ければストレスを感じなかったであろうものは以下の通りでした。
◯対人関係(セクハラ・パワハラを含む)
◯役割・地位の変化等
◯仕事の失敗、責任の発生等
◯顧客、取引先等からのクレーム

さて、対人関係療法(IPT)とは、1960年代からアメリカで開発が始まった心理療法で、「人がうつ病になる直前に何が起こっていたのか」を調査した結果から生まれたものです。認知行動療法と並んで有効性を証明するデータが最も多い心理療法と言われています。
フロイトの精神分析、ロジャーズの来談者中心療法が、過去の人間関係や生育歴に焦点を当ててクライエントを見立てるのに対して、対人関係療法(IPT)は現在の人間関係、特に重要な他者との人間関係に重点を置いて行われるものです。
対人関係から起こる精神的な症状や問題について、対人関係療法(IPT)で特徴的な4つの問題領域のどの領域から起きているかを見立て、コミュニケーション分析を行い問題解決の支援を行います。
<四つの問題領域>
1)悲哀・・・重要な人の喪失や死別など
2)対人関係上の役割をめぐる不和・・・身近な人間関係でお互いに期待する役割の不一致
3)役割の変化:身近な人間関係でお互いに期待する役割の変化
4)対人関係の欠如:身近に親しい人がいないなどの孤独や孤立

今後対人関係療法(IPT)もカウンセリングに取り入れ、クライエント様にとってより有効なカウンセリングスキルの幅を広げていきたいと思います。

苦しい気持ちをありのまま受け止め、あなたの味方となり一緒に考えます。
お気軽にご相談ください。

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この記事を書いた人

職場や生活で強い不安やストレスを抱えてお悩みのあなたを、企業経験30年(人事労務を担当した15年ではメンタル不調者への産業医と連携した対応経験が豊富)、メンタルクリニックでの患者さんへのカウンセリングによる支援、社外メンターとしての成長支援、SNS相談員として命と心、LGBTQなどの相談対応などの経験をベースにサポートいたします。

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