育児・介護と仕事の両立は仕組みで支える…管理職が孤立しない職場づくり

目次

管理職が最初に抱える“静かな心理的負担”に目を向ける

部下が育児や介護に直面していると知った瞬間、
「大丈夫だろうか」「どう業務を回そうか」と胸の奥に緊張が走ることがあります。
現場を動かす判断を日々担っている管理職は、
小さな変化を誰よりも早く、誰よりも深く受け取ってしまう立場です。

表面上は変わらず業務が回っているように見えても、
調整の増加、急な休みへの備え、評価の配慮、感情労働――
多くの見えない作業が静かに積み重なり、心のキャパシティを奪っていきます。

これはいわば管理職プレゼンティーイズム
仕事をしているように見えても、本来の判断力・集中力が落ち、
疲れが自分では分からないまま蓄積していく状態です。

管理職の負担は、問題が表面化するより先に始まっています。

「いつも通りの裏にある変化」に気づけると、チームは強くなる

一見「何も起きていない」ように見えても、
その裏側では負荷が静かに積み重なっています。

当事者社員が無理をして働き続けることで、
周囲の社員への引き継ぎ負担が増え、
それを見守ることしかできない管理職の心も疲弊していく。

この“静かな疲弊”は、組織にとって次のような見えないコストにつながります。

  • プレゼンティーイズム(当事者と管理職双方)
  • 突然の離職(介護離職・両立困難)
  • 負の連鎖(若手の将来不安による流出)

だからこそ、
早く気づき、早く相談し、早く仕組みを使うことが組織の持続性を守ります。
小さな変化に気づくチームは、必ず強くなります。

育児介護休業法と社内ルールは、管理職を孤立させないための“仕組み”である

法律や制度は、“当事者の社員を守るため”だけのものではありません。
実は、管理職を一人にしないための仕組みでもあります。

管理職が押さえるべき育児介護休業法のポイント

  • 育児休業は原則として社員の権利であること
  • 介護休業は合計93日、分割取得も可能であること
  • 短時間勤務や所定外労働の免除など、段階的な支援制度が存在すること
  • 企業側は原則として利用を妨げられないこと
  • 早期申出がもっとも重要なカギになること

管理職がやるべきことは3つ

  • 状況を早期に把握する(相談しやすい空気づくり)
  • 制度・社内ルールの適用を最優先で検討する
  • 人事・産業医と連携し“チームで支える体制”を作る

制度は、管理職が背負い込みすぎず、
組織全体で支えるための“支えの柱”です。

管理職が自己犠牲で回す時代ではありません。
仕組みを使うこと自体が、現代のマネジメントスキルです。

仕組みを使いこなした企業は、持続的に強くなる

制度を使うと業務が滞るのではないか。
チーム力が落ちるのではないか。
そう不安に思う管理職は多くいます。

しかし現実には、
制度を積極活用した企業ほど生産性が高く、業績も安定することが分かっています。

Patagonia(米国)──家族を大切にする制度が“経営戦略”に

【出典】Patagonia 公式レポート「Family Business」(2016)
・社内保育所の設置
・育児中の親への金銭補助
・復帰支援プログラム(リターンシップ)の導入
・育児参加を最優先してよいという文化の明文化

その結果として、保育所利用者の復職率100%
高い社員定着率、
“家族を大切にしてくれる企業”としてのブランド力を獲得しています。

経団連の調査:育児・介護支援が充実している企業ほど生産性が高い

【出典】日本経済団体連合会「人材育成・ダイバーシティに関する調査」(2022)

  • 両立支援が充実している企業ほど、離職率が低く、生産性が高い傾向
  • 柔軟な働き方の導入は、若手の定着に明確な効果があること

経済産業省「健康経営銘柄」──支援制度が業績に反映

【出典】経済産業省・東京証券取引所「健康経営銘柄2023」
“社員の健康支援(メンタル・生活・両立)を強化した企業”は、

  • ROE(自己資本利益率)が高い傾向があること
  • 株価の安定・成長性が顕著であること

結論として、
育児・介護支援は「コスト」ではなく「投資」です。
人材定着、採用力、ブランド力、生産性――
企業の根幹を支える力を高めます。

管理職一人ではなく“組織で支えること”が最も合理的

育児や介護は、社員個人の問題でありながら、
企業にとっては避けられない経営課題でもあります。

そして、この課題を最も近い場所で受け止めるのは管理職です。

だからこそ、
管理職が孤立せず、制度を使い、チームで支え、
機微な個人情報を会社に安心して託せる文化が必要です。

強い組織とは、
“誰かの大変さを、みんなで支える力を持っている組織”です。

あなたの職場も、その一歩を踏み出せます。
そしてその一歩は、管理職であるあなたの気づきから始まります。

【育児・介護と仕事に関する記事】
一般社員向け
経営者向け

組織力を最大化するための管理職支援コンサルティングはこちらから

苦しい気持ちをありのまま受け止め、あなたの味方となり一緒に考えます。
お気軽にご相談ください。

よかったらシェアをお願いします
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

職場や生活で強い不安やストレスを抱えてお悩みのあなたを、企業経験30年(人事労務を担当した15年ではメンタル不調者への産業医と連携した対応経験が豊富)、メンタルクリニックでの患者さんへのカウンセリングによる支援、社外メンターとしての成長支援、SNS相談員として命と心、LGBTQなどの相談対応などの経験をベースにサポートいたします。

コメント

コメントする

目次