ストレスによる「チャレンジ反応」と「思いやり・絆反応」

スタンフォード大学のケリー・マクゴニル著「スタンフォードのストレスを力に変える教科書」より

ストレスと聞くと、どんなことを連想しますか?
多くの方はネガティブな印象を持たれていると思います。

そりゃあそうです。
巷には、ストレスによる気持ちの落込み、肩こりや腰痛、不眠、胃が痛くなるとか下痢や便秘になる、疲労が増す、うつ病をはじめ様々な病気の原因だ!・・・といった言葉が氾濫してますし、その上そのストレスからどうやったら逃れられるか、どう予防すべきかといった情報が氾濫しているのですから。

でも、ストレスがなかったらどうなると思いますか?
きっと、人生に張りがなくなるし、何か工夫しようとか、より良いものを目指そうとか、そういうことはしなくなるのではないかと思うんです。

そこでストレスに対する偏見をなくしポジティブに捉えていただくために、人生をより豊かにするストレス反応・・・「チャレンジ反応」と「思いやり・絆」をご紹介したいと思います。

目次

「チャレンジ反応」

ストレスが命を脅かす危険なものではない場合、脳と体の反応は「チャレンジ反応」に切り替わります。

この反応が起きると、プレッシャーがかかる場面でもやるべきことをしっかりやれるようになります。

例えば、ゴルフでよく言う「ゾーン」、長距離走やマラソンランナーが感じる「ランナーズハイ」、音楽の分野ならミュージシャンが没頭して最高の演奏をしたりとか、外科医が危険で難しい手術でも神業とも言えるオペを成功させたりすることを可能にしているのはストレスによる「チャレンジ反応」なのです。

そして、「闘争・逃走反応」(不安発生のメカニズムと対処法で解説しています)とは違って、集中力は高まっても恐怖を感じません。
こんな心や体の状態を体験したこと、一度はあるんじゃないでしょうか?
体験したことのある方は、ストレスの恩恵を受けていたと言うことですね。

では、どのような時に「チャレンジ反応」が起きるのでしょうか?

それは、「ストレスを感じる状況は、自分の知識、スキル、長所などを向上させるのに良い機会」だと考えた時に「チャレンジ反応」が起きる可能性が高くなるんです。

是非、仕事でも、スポーツでも、音楽でも、何かをしているときにストレスを感じたら、自分の知識、スキル、長所などを向上させる良い機会だから、頑張ろう!と思ってみてください。きっと思った以上の効果が出るはずです。

「思いやり・絆反応」

ストレスを感じた時、不快な気持ち以外にどのような気持ちになりますか?
人恋しくなったり、誰かを守らなきゃと思ったり、誰かの安否を気遣ったりそんな気持ちを経験したことありませんか?

これは、ストレスを感た時に体内では、「アドレナリン」だけではなく「幸せホルモン」とか「ラブホルモン」とも呼ばれる「オキシトシン」が分泌される事により引き起こされるものです。
この「オキシトシン」の役割は、社会的な絆を築いたり強化するものです。
大量に分泌されると、
・誰かと繋がりたくなる
・周りの人への理解力が強まる
・思いやりを深め直感が鋭くなる
と言った感覚が生まれ、大切な人への信頼が深まり、相手の役に立ちたいと思うようになることに加え、相手を思いやることで得られる、心のぬくもりをいっそう感じやすくなるのです。

オキシトシン」の役割はこれでけではありません。勇気をもたらす脳内化学物質でもあり、脳の恐怖反応を鈍らせ、私たちを勇敢にしてくれる働きもあるのです。

整理すると、
ストレス反応により「オキシトシン」が分泌されると、支え合う仲間たちとつながることが心強く感じられ、また相手の気持ちに敏感になるため、大切な人たちとの絆を強めることができます。
そして、自分にとって大切な人やコミュニティを守りたいという気持ちを高め、そのための勇気が湧いてくるのです。

他の動物を倒すための牙や爪を持たない人類が、社会的な動物であることを選択してこれまで進化してきたことを考えると、この「オキシトシン」と言うホルモンはとても重要な役割を果たしているのだなと思うとともに、人間の脳と体の仕組みは本当によくできてるなと感嘆してしまいます。

まとめ

身体中の力と意思力を結集させる「闘争・逃走反応」、最高のパフォーマンスを引き起こす「チャレンジ反応」、社会的な繋がりを強化する「思いやり・絆反応」をご紹介してきました。

ストレス反応にも色々あれど、重要なことは、どれも自分の大切なものが脅かされる時に起こるもので、そしてその反応は、私たちがその状況に手を打てるようにするためのものだと言うことです。

ストレスは気持ちを憂鬱にさせたり、体調を悪くしたり、病気を引き起したりするものである以上に、人を豊かにするものだという認識を持って、上手に利用していきたいものですね。

苦しい気持ちをありのまま受け止め、あなたの味方となり一緒に考えます。
お気軽にご相談ください。

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この記事を書いた人

職場や生活で強い不安やストレスを抱えてお悩みのあなたを、企業経験30年(人事労務を担当した15年ではメンタル不調者への産業医と連携した対応経験が豊富)、メンタルクリニックでの患者さんへのカウンセリングによる支援、社外メンターとしての成長支援、SNS相談員として命と心、LGBTQなどの相談対応などの経験をベースにサポートいたします。

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